宗派不問のお墓は大丈夫?
1、宗派不問のお墓とは
宗教不問とは、公営霊園(墓地)や民営霊園(墓地)などのことで、お墓を建てる人の宗教が何であっても建てることが出来るという意味でよく使われている言葉です。
最近では、寺院の管理する墓地でも宗教不問が増えてきました。
法船寺ともいき堂のように、特に永代供養墓や納骨堂や樹木葬などの新しい供養形態では宗教不問であることが多いです。
それに対し「宗旨・宗派不問」については似たような意味に取られがちですが、これは「宗教自由」という意味ではありますが、一般的に「在来仏教に限る」ことが多いです。
つまり、キリスト教やイスラム教は含まれないことが多いという意味が通例となっております。
また、「宗旨・宗派不問」は文字通り宗派を問わないが、法要などはそのお寺の宗派に従うという意味が含まれることが多いので、そこが無宗教であるかどうかを気にされる場合は、事前確認が必要になってきます。
法船寺は浄土宗のお寺なので、法船寺ともいき堂をご利用いただく場合、納骨時の法要などは浄土宗のやり方で行っております。
お客さまさえ上記に差し支えなければ、宗派不問でご利用いただけます。
2、浄土宗と浄土真宗の違い
法船寺は浄土宗のお寺であり、法船寺ともいき堂を見学に来られるお客さまからは”浄土真宗でも大丈夫?”とのご質問をよくいただきます。
これについて法船寺ご住職は、「浄土宗が本家であり、浄土真宗が分家なので大元は同じなので問題ありません」とお答えしています。
浄土宗は法然上人が開き、浄土真宗は親鸞聖人が開いたと言われています。
そして当時、法然上人と親鸞聖人は師弟の関係でした。
現状では、二人の教えは違うなどという情報が出回っており、勘違いされやすい状態となっております。
親鸞聖人は法然上人の教えを否定して新しい宗派を作ったとか、法然上人の教えを更に発展させたことで違う教えになったなどと言われたりもしています。
しかし、実はこの二人の教えはそんなに変わったものではないということです。
実際には、親鸞聖人は法然上人のことを生涯に渡り尊敬しており、自ら新しい宗派を作る気はなかったそうです。
では何故二つの宗派は違うという誤解が生まれたのでしょうか?
実は法然上人が亡くなられた後、浄土宗は解釈の違いなどから浄土宗は五つの派に別れてしまいます。
別れた理由としては、法然上人のお弟子さんには聖道仏教から移ってきた人が多かったことが挙げられます。
これらのお弟子さんには、元々聖道仏教の教えが染みついている為、どうしても法然上人の教えを正確に理解することが出来なかったのです。
こうした教えの乱れを嘆かれた親鸞聖人は、師匠である法然上人の本当の御心の開顕に努められました。
その教えを聞く人々が後世に大きな集まりとなり「浄土真宗」と呼ばれるようになりました。
一方で今日、世間で一般的に言われている「浄土宗」とは、証空の開いた「西山派」か弁長が開いた「鎮西派」です。
しかし二人とも法然上人の高弟であったとはいえ、法然上人の教えに沿ったものではないので、法然上人の開いた浄土宗とはいえません。
最近では「鎮西派」が多いので、浄土宗といえばこの「浄土宗鎮西派」のことを指すと理解しても良いでしょう。
ではそんな二つの宗派の違いついて、もっと具体的に見ていきます。
まずお経について、両宗派とも「浄土三部経」を教えどころにしています。
そして浄土宗では他宗派でも採用されている「般若心経」も読みますが、浄土真宗では読みません。
般若心経を読むということには、人間が仏の智慧を得てその道を進むことを目指しています。
しかし、浄土真宗には「絶対他力」という考えがありますので、人間が仏の智慧を得る必要がないということです。
次に仏壇について、飾り方にも違いがあります。
浄土宗の阿弥陀如来は、舟形の光背のついたものです。
掛け軸は、向かって右側が「善導大師」で左側が「法然上人」です。
浄土真宗の阿弥陀如来は、頭光と光背のついたものです。
掛け軸は、向かって右側が「親鸞聖人」で左側が「蓮如聖人」です。
3、宗派不問のお墓でも大丈夫?
1でも少し触れましたが、現在確認されているところで、宗派不問は以下の二つの意味で使われていることが多いので、事前に確認しておく必要があります。
ここで注意していただきたいこととして、あくまで「過去の宗旨・宗派は問わない」という意味だけが共通していることです。
つまり、過去の宗旨・宗派は問わないが、「お墓を建てた後はそのお寺の宗旨に従って法要や供養を行う」という事実上の改宗のようなやり方もあるということになります。
例えば、先祖代々お世話になってるお寺があるが、遠方で親との付き合いはあっても私達との付き合いは少なくお墓のメンテナンスが大変なのと、そもそもお寺との付き合い自体も面倒だから、私達の代からは離檀して近くの霊園か納骨堂にしよう、と考えて墓じまいをしたとします。
しかし次に契約した霊園や納骨堂が②のケースだった場合、せっかくお寺との話し合いも上手くいき離檀したのに、また檀家に加入することになり、別のお寺との付き合いが発生してしまいます。
なので、この「宗派不問」には二つの意味があることをしっかり理解し、自分達の希望に沿ったものかどうかを事前に確認することが重要になってきます。
よくある話としては、その霊園が建ってる土地をお寺が所有していた場合です。
その場合、お寺と霊園との付き合いが深いことになるので、②のケースであることが多いです。
このような点に注意していただいて、ご遺族・親族ともじっくり話し合いをしたうえで決断される方がよろしいかと存じます。
という表現が当てはまりますので、皆さまそれぞれのご都合の宜しいようお寺と付き合っていくことができます。